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2021年11月3日(水・祝)7日(日)

《プレアゴラ》10月10日(日)11日(月)

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No.04-B1711月4日(木)17:00~19:00

資源循環型社会への変革~南アフリカでの取り組み

Toward a Zero-Waste Society through circular economy practices ? a Case of South Africa

南アフリカ共和国大使館 Embassy of the Republic of South Africa in Tokyo, JAPAN

企画概要

日本と南アフリカ共和国による二国間科学技術協力の広報活動の一環として、海洋プラスチックゴミや温暖化などの地球規模の問題をどのように資源循環型社会や脱二酸化炭素社会へ変革できるかを考える。例として、現在実施されている共同研究である、(1)プラスチック代替素材、及び(2)セメント業界の炭素循環を紹介し、循環型社会に必要なライフサイクルについて議論する。昨今注目されてきているサーキュラーエコノミーに対して、個人の気づきや行動変容につながるセッションを目指す。

How different between recycling and resource circulation?
How can we transform our world to a zero-waste society?
This session will explore how to build a zero-waste / decarbonised society by using lifecycle assessment. South Africa ? Japan joint research teams will share different approaches: (1) sustainable alternative material to fossil-based plastics; and (2) carbon recycle system in the cement industry. Then, this session is aiming to make a small suggestion to encourages individuals to start immediate actions toward a zero-waste society.

http://www.dst.tokyo

登壇者プロフィール

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ジェピー ハリヴ Jeppie Ghaleebi

在日南アフリカ共和国大使館、科学イノベーション教育担当公使

1994年の南アフリカ共和国の民主化以降、教育分野の公共事業に従事し、高等教育訓練省の国際関係課長を経て、2021年7より現職。両国間の科学イノベーション及び教育分野での協力拡大、連携強化を目指す。

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西尾 なほみ Nishio Nahomi

国連工業開発機関 環境部 産業効率部 産業開発専門官

アフリカの産業界との連携を図りながら海洋プラスチックごみ問題対策に取り組んでいる。過去には産業における気候変動適応策として技術移転プロジェクトなどに従事。日本の環境技術を活用した案件を多く実施。シンガポール、ニューヨーク、モルジブ、フィリピン、マケドニアなどを転々として現在ウィーン在住。

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オェロフセ スーザン OELOFSE SUZAN

南アフリカ科学産業研究評議会(CSIR)主席研究員

サステナビリティ・エコノミクス・廃棄物研究グループ、UNIDO・CSIRプロジェクトのCSIR側チームリーダー。

専門分野は南アフリカの廃棄物管理に関する政策や規制、データ管理、環境負荷の削減、サーキュラー・エコノミー、サステイナブルな消費と生産など。

ノース・ウエスト大学の環境科学・管理ユニットの臨時教授も務める。

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匂坂 正幸 Sagisaka Masayuki

ライフサイクルアセスメント専門家

国立研究開発法人 産業技術総合研究所にてライフサイクルアセスメント研究センターや安全科学研究部門などでLCAの研究やエネルギーや素材の持続可能な社会でのあり方に関する研究に従事。現在は国立研究開発法人 産業技術総合研究所 名誉リサーチャー。また、2018年より国際連合工業開発機関(UNIDO)東京投資・技術移転促進事務所にて技術関連のアドバイザーを務める。

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飯塚 淳 Iizuka Atsushi

東北大学 多元物質科学研究所 金属資源プロセス研究センター 准教授

2006年3月に東京大学で博士号取得後、東京大学、成蹊大学等で研究活動を行う。

2010年より東北大学 多元物質科学研究所に異動。地球温暖化対策、水処理、金属資源の循環システム等に関わる研究等に従事。

プログラム

17:00

1 ご挨拶(ハリヴ・ジェピー、南アフリカ共和国大使館 科学イノベーション教育担当公使)

2 問題提起(西尾なほみ、国連工業開発機関(UNIDO) 環境部 産業効率部 産業開発専門官)

3 ビデオ講演・南アフリカにおける持続可能な代替材料の開発状況に関して(スーザン・オエロフセ主席研究員、CSIR=南アフリカ科学産業研究評議会)

4 講演1・ライフサイクル評価は持続可能性の実現にどのように貢献していくか(匂坂マサユキ博士、UNIDOアドバイザー、LCA専門家)

5 講演2・脱炭素社会に向けた炭酸塩化を利用したカーボンリサイクルシステムの開発(飯塚淳 准教授、東北大学 多元物質科学研究所)

6 討論

出展レポート

セッションで話し合った未来像

サーキュラーエコノミーに向けた個々に対する意識づけの重要さ

セッションでの意見、論点

海洋プラスチックごみの80%は地上の活動からのもので、また、大気中の二酸化炭素の60%はセメントから排出されている。どちらも地球環境に負荷を与えており、いかにしてそれら悪影響を低減させていくか、ライフサイクルという観点も取り入れて議論した。ある物が不要になった際、再利用で資源となったり、再構築により別のものになったり、再生やエネルギー源に変換したり極力ゴミを排出しない手法が望ましいが、生活環境やシステムの欠如により、ゴミが増えてしまう。資源使用を減らすパッケージをデザインしたり、農作物の残渣を利用するなど素材自体を環境配慮型に変更したりすることも可能であり、南アフリカの科学産業研究評議会(CSIR)で代替プラスチックを開発していることも紹介された。その代替材料は生分解性を検証していくが、環境負荷としてライフサイクルの評価にも重点を置くべきで、ライフサイクル評価の手法が示され、経済活動は含まず環境負荷の観点のみで評価することが必要との事。一方で、分別や回収をしやすいシステム作りも必要であり、政府の介入も必要となってくる。大気中の二酸化炭素を廃コンクリートや廃鉱物などの不要物と合成させ、炭酸カルシウムなどの炭酸塩貨物を作成する研究が紹介された。

その研究はSATREPSの採択案件として先月から実際の共同研究活動が開始され、南アフリカでのカーボンサイクルシステムの開発と社会実装を行なっていく事が発表された。

交流セッションでは、途上国での分別に関しての質問があり、ゴミ収集で稼ぐ人もいることも共有されたが、不十分だし、教育が重要である事が確認された。講演者同士での交流がほとんどだったことは残念だったが、全く異なる研究スキームで、南アフリカでのプロジェクトという共通点を介して、カーボンリサイクルでもライフサイクルアセスメントの導入を検討するとのことで、専門家同士が繋がったことが大きな成果の一つとなった。

セッションで出たキーワード

サーキュラー・エコノミー インダストリアル・エコノミー バリューチェイン 海洋プラスチックごみ 代替材料 農作廃棄物 LCA(ライフサイクルアセスメント) 環境負荷 生分解性 リサイクリングシステム 脱炭素社会、カーボンリサイクル 炭酸塩化物、炭酸カルシウム 廃コンクリート 鉄鋼スラグ、セメント SATREPS 教育

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