SCIENCE AGORA

2021年11月3日(水・祝)7日(日)

《プレアゴラ》10月10日(日)11日(月)

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No.07-B1011月7日(日)10:00~12:00

命のつながりと生物多様性 ~陸と海の豊かさを守ろう~

Biodiversity and the Chain of Lives - Protecting the abundance of the land and the sea -

生物多様性保全協会 The Japan Biodiversity Association

企画概要

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私たちは、生物多様性を保全する活動をしています。その一つとして、在来種の保全のため、外来種の駆除活動をしてきました。外来種を駆除するということは、命を奪うことを意味しています。

人間や他の動物は、命を維持するために食料として他の命をいただいています。農作物に被害を与えている在来種のイノシシの命や在来種に悪い影響を与えている外来種のアメリカザリガニやアレチウリなどの生物の命をテーマに、食物連鎖・さまざまな命のつながりから、人と野生生物との持続可能な関係・共生のあり方を来場者と一緒に考えます。

http://www.biodiversity.or.jp/scienceagora2021.html

Our activities involve conserving the biodiversity of wild organisms. As one of our activities, we've been exterminating the alien species, to secure the breed of the native species. Exterminating alien species means taking away their lives.

Humans and animals take the lives of other organisms, consuming them as food, to keep our lives going. We will discuss about the food chains and how the lives of the organisms are linked to each other, taking the examples of native species of wild boars that damages the agricultural fields, or Red swamp crawfish and burr cucumbers, both alien species, that endangers the similar native species. Together with the audience, let us think about building sustainable relationship between the humans and the wild organisms.

登壇者プロフィール

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石川 和宏 Ishikawa Kazuhiro

生物多様性保全協会会員。ELFIN(生物情報集積と発信) 代表。生物分類技能検定1級(底生生物、魚類、昆虫類の各専門分野)。建設部門(建設環境)、環境部門(自然環境保全)の技術士として、約30年間、自然環境の調査や自然保護の計画に携わる。

昆虫や水生動物など無脊椎動物を多く扱ってきた技術者・専門家として、ウシガエルの餌として持ち込まれた外来種アメリカザリガニの駆除について参加者と一緒に考えたい。

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竹内 江利子 Takeuchi Eriko

調布市多摩川自然情報館解説員。鳥獣管理士2級。

里地里山の荒廃等によって、野生鳥獣の生息域が人の生活圏と重複するようになり、人と野生鳥獣との距離が近くなり、農業や生活環境等に係る被害が増している。野生鳥獣のうち、特に鳥獣保護管理法において第二種特定鳥獣に指定されているイノシシについて、鳥獣管理士として立場から、防除について参加者と一緒に考えたい。

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萬代 純一 Mandai Jyunichi

生物多様性保全協会理事。元実験教室サイエンス倶楽部の教室長として、幼児から高校生までの科学教育に携わる。また、箱根植木株式会社の在来種緑化の担当者として、地域性在来種の普及に取り組んでいる。

農産物に被害を与えている特定外来生物アレチウリの駆除について参加者と一緒に考えたい。

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赤澤 豊 Akazawa Yutaka

生物多様性保全協会代表理事。技術士環境部門(自然環境保全)、総合技術監理部門(建設環境)、環境カウンセラー(事業者部門)。環境コンサルタントとして約40年、自然環境保全、環境教育等の業務に従事する。

本企画では、在来種と外来種の「命」について、具体的な情報を示しながら「命を奪うこと」の賛否について考える。参加者も登壇者も自由に様々な意見を述べ、議論が深まるよう、司会・進行役を務めたい。

プログラム

10:00

1 開会の挨拶・企画意図の説明

10:05

2-1 アメリカザリガニは駆除すべきか?

   話題提供者:石川 和宏

10:30

2-2 イノシシは駆除すべきか?

   話題提供者:竹内 江利子

10:55

2-3 アレチウリは駆除すべきか?

   話題提供者:萬代 純一

11:20

3 まとめ・閉会の挨拶

   赤澤 豊

11:30

4 質問と意見の時間(メインプログラム終了後約30分:自由参加)

   参加者や話題提供者が自由に質問や意見交換を行います。

出展レポート

セッションで話し合った未来像

人間と野生生物との共生・共存の望ましい「将来像」は、人間が野生生物による被害を防除する努力と適正な個体数の管理を行い、増えすぎた野生生物については、ジビエなどの流通を整え食物といて利用し、持続的な関係が保たれている「姿」である。

セッションでの意見、論点

 本セッションでは、生態系下位で捕食される外来種のアメリカザリガニ、農作物に被害を与えている在来種のイノシシ、特定外来生物に指定されているアレチウリを取り上げ、人と野生生物との関わり方、共生・共存のあり方と話し合いました。

 人の生命、農林水産業、生態系に被害を及ぼす生物として指定された特定外来生物アレチウリについては、緑の少ない都市部では生物の拠り所として共存すべきという意見がありましたが、農村部では生物多様性の保全のため駆除すべきであるという意見など、「駆除が必要である」という意見が多数を占めました(駆除する必要がある78%、必要はない3%、どちらとも言えない14%)。

 アメリカザリガニについては、既に日本の生態系に組み込まれ、上位のサギ類やコウノトリの餌となっており、完全に駆除すると在来種のドジョウやカエルが捕食され減少するという意見や既に広く全国に広がり、完全に駆除することは難しいという意見や食料として活用すべきという意見がありました。「駆除する必要がある」という意見と「必要はない」、「どちらとも言えない」の合計は、ほぼ同率でした(駆除する必要がある44%、必要はない16%、どちらとも言えない33%)。

 在来種のイノシシについては、農業被害を減らすために森林を整備してイノシシが人里に下りてこないようにするなど、人が努力し、防除策を講じるべきと言う意見や流通を整備しジビエとして利用すべきという意見や「共生」、「共存」を考えるべきであるという意見がありました。「駆除する必要はない」という意見と「どちらとも言えない」の合計で半数を超えていました(駆除する必要がある26%、必要はない40%、どちらとも言えない29%)。

 取り上げた3種の生物を含め、野生生物については、都市化の進行や人と自然との関わりが減り、里山の荒廃などが、人と野生生物との距離を近づけ、また、狩猟による捕獲数の減少が野生生物の個体数を増加させる原因となっているということや野生生物の駆除が、単に「命を奪う」行為ではなく、ちゃんと食物として「いただく」ことが必要であるという意見が、広く共通する意見であったと思われます。

セッションで出たキーワード

生物多様性、共生、共存、SDGs、里山の荒廃、在来種、外来種、特定外来生物、外来生物法(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)、鳥獣保護管理法、第二種特定鳥獣、鳥獣管理士、狩猟、有害鳥獣駆除

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