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最終更新日 2012/01/10
Sb-56 サムネイル
Sb-56 シンポジウム・トークセッション
スーパーコンピュータは銀河形成の夢を見るか?
主催
計算基礎科学連携拠点
共催等
[共催]筑波大学 計算科学研究センター、高エネルギー加速器研究機構
最近のスーパーコンピュータを使ったシミュレーションで、銀河形成の過程、特に大きな謎だった渦巻構造のでき方が明らかになってきている。その結果と、今後の発展、「京」コンピュータへの期待等について紹介する。
実施報告など
http://www.jicfus.jp/jp/scienceagora2011_houkoku1/
記録音声・映像
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会場配布チラシ
チラシ(PDF、364KB)
日時
11/20(日)12:45-14:15
会場
産業技術総合研究所臨海副都心センター別館 11階 会議室1
内容
最近のスーパーコンピュータを使ったシミュレーションで、銀河形成の過程、特に大きな謎だった渦巻構造のでき方が明らかになってきている。その結果と、今後の発展、「京」コンピュータへの期待等について紹介する。 というのが当初考えていた内容で、今日はもちろんこういう話もします。が、これは元々 3.11震災の影響で中止になった日本天文学会2011年春季年会に合わせた一般向けイベント用に考えていた内容です。3.11震災の特徴は、「3大災害」と言われるように地震・津波・原発事故がセットになったことです。原発はもちろん現代の科学技術によって作られたものであり、それがなければ災害への対応は大きく違ったものになったことは間違いありません。 銀河がどうやってできるか、といった研究は純粋に学問的興味から進めているわけだし、原発とは全く無縁でいてもかまわない、我々は我々の研究を進めることが社会への貢献である、という考え方はもちろんあり、それはそれで基本的に間違っているわけではないでしょう。 が、19世紀までの実用的な意味があった時代ならともかく、現代においては天文学・天体物理学は社会に対して直接何か役に立つわけではなく、まあ、要するに社会から見ると「遊び」です。そういう「遊び」の意義は、想像力、ないしは「想定」の範囲の拡大にあると思います。 わかりやすい例を一つだけ上げると、カール・セーガンのグループが 1980年代中頃に「核の冬」という概念を提唱しました。それほど規模が大きくない核戦争でも、大量のダストを成層圏まで巻き上げることで気候に破滅的な影響をもたらしうる、というものです。彼らは元々火星の気候の研究をしていて、ダストの影響が大きいということから、地球に応用してみたわけです。それまで、核戦争の影響評価は色々なされてきましたが、この効果は考えられてなかったわけです。 天体物理というのはそういう学問で、地球上で普通には起きないが、宇宙のどこかでは起きていることを、物理学の知識を使って解明するものです。今のところ、地上では起きたことがない現象、考えたこともない現象も、普通の物理学で理解できそうになってきています。 とはいえ、実のところは天体物理現象で、物理学の法則からきちんと理解できていること、はそれほど多いわけではありません。成功の代表例は恒星の内部構造と進化で、質量と明るさの関係、寿命、といったものは計算機シミュレーションからよくわかっています。駄目なものの代表が超新星爆発と銀河形成で、大規模な計算機シミュレーションでもまだ上手くできてはいないわけです。 なぜ上手くできていないか、は上手くできるようにならないと本当のところはわからないわけですが、銀河形成については、最近の研究の進展をみると、ひょっとすると上手くいきそうかな?という期待が持てる程度にはなってきています。 「核の冬」の例からもわかるように、研究したことがなんの役に立つかはあらかじめわかるわけではないですが、たとえば「核の冬」の結果がわかっていなければ小規模の核戦争が今までに起こっていて人類が滅亡していたかもしれません。銀河形成の研究がそのように人類を救う、ということはありそうにないわけですが、「遊び」であるような研究を全部やめてしまうと人類が滅亡するかもしれない。 というようなわけで、銀河形成の話に加えて、天体物理学者の目からみた原発事故、といったことについても少し触れてみようかなと思います。 
主な登壇者など
牧野淳一郎(東京工業大学大学院 理工学研究科 理学研究流動機構) 
参考URL
http://www.jicfus.jp/jp/ 
事前申込
なし(自由に参加できます)
備考
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